あなたは自画像を描いたことがありますか? 自画像は、狭義には、自分の顔を模写することですが、ここでは顔だけでなく体を含めて全身を描くことを自画像と呼ぶことにしましょう。おそらく小学校の図工や中学校の美術の授業で一回や二回は経験があるのではないでしょうか。

写生やデッサンのように精密なものでなくても、簡単にノートの切れ端などに書いた人間の絵をかいてみてください。描くのがめんどくさければ、最近書いたものを思い出してください。

あなたの描く、「自画像」あるいは人間・ヒトと言われて真っ先に描く体は、女性ですか? それとも男性でしょうか。幼稚園児などの絵を見ていると、絵の中にでてくる一人目の人は、男の子は男の子を描き、女の子は女の子を書くことが多いようです。これは自分の体の認識・ボディーイメージといったことと関係していると考えられます。

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ヒトを描くとき、男性が主となる人物を男性として描き、女性は女性を描くことが多いのであれば、これは性同一性障害の性自認の判定に使えそうだ、と感じました。しかし、よく考えてみると、自画像は心の性を表しているのではなく、今の自分についての認識を表していると考えられます。鏡を見ながら模写する場合は、現実の体を反映しますし、私たちが体を動かす際の基準になっているとされている「ボディーマップ」も自分の体をモデルにつくられているからです。このようなことから、自画像の性を持って、心の性を判断するのは妥当ではありません。

ここまで書いて、この記事のテーマ「自画像が男性か女性か」は、無意味なものに思えてきましたが、せっかく思いついたアイデアなので、もっと掘り下げてみることにします。次の着目点は、自画像が自身の認識を反映しているとするならば、性別移行(MTFの場合は女性化)の過程で、その内容に変化がみられるかどうか、またどの時点で変化するかという点です。

ホルモン療法なり、外科的手術なりの身体的治療を行うことで、少しずつ体が変化してきます。すると、次第に私たちのボディーイメージ(体についての認識)も変化していくと考えるのが自然です。自画像として描かれる人物の性別や性と結びつけられた身体的な「らしさ」も、肉体の変化を反映すると考えられます。

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ところで、自画像の性の変化は次第に起こるのでしょうか、それともある段階から急激に変化するのでしょうか。ホルモン療法による身体の変化は急激なものではなく、時間をかけて進行するというのが今日の定説になっています。また、身体のイメージを自我が受け入れるのには時間がかかります。そもそも自我は、変化を避けようとする傾向がありますし、事故などで体の一部を摘出した人が、新しい身体の状態になれるのには時間がかかることからも、自我が変化を受け入れるのに時間がかかることがわかります。

身体的な性別移行の場合も同様で、自画像の性が変化するのには時間がかかるでしょう。そして、この自画像の性が変化したときが、大きな転換点なのではないかと思うのです。それは、自我が新しい性としての自分の体を受け入れ始めたときなのかもしれません。その時、「自分は<新しい性(MTFの場合は女性)>なのだ」という実感がこれまでよりも強まり、そしてその性(MTFの場合は女性)としての自信がついてくるのと同時に、新しい体のイメージはその性らしさを習得することを促進するでしょう。その結果、パス度も高まります。

定期的に、自画像を描いて、過去現在と比べてみると面白い発見があるかもしれませんね。

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