男女の違いは、身体の違いだけではありません。声や話し方、そしてしぐさも違います。ここでは、元男性が女性になるうえで最低限身につけておきたい、女性らしいしぐさを紹介します。
女性らしいしぐさを身につけよう
私たちは、生まれた体が男性だったので、小さいころからずっと男性らしく育てられてきました。中には、理解のある両親の元、自由に育った方もいるでしょう。しかし、大多数のMTFは男性らしさに染まってしまっていることが多いです。特に、10代~20代前半のMTFよりも、年齢が高めのMTFの場合今まで男性として生活してきている期間が長く、男性らしいしぐさ(行動様式)を身に着けてしまっているのではないでしょうか。
しぐさなどの行動様式は、一般的に生来的のものではなく、成長の過程で文化のなかから学ぶものとされています。両親をはじめ、兄弟兄妹、地域社会、学校、会社などで周りの男女を見て学び取ったり、両親や先生、仲間から「そういう行動は男(女)らしくない!」と指摘されて学んだりします。こころが女性でありながら身体が男性であるMTFにとって、女性らしいしぐさを貫くのは、楽なことではないでしょう。
最近は、性同一性障害であることをカミングアウトしたうえで女性らしいしぐさをすることは受け入れられつつありますが、それでもなお何も言わずに男性の身体のままで女性らしいしぐさをすれば、違和感があります。このようなことから、ジェンダークリニックを受診する際、MTFはすでに女性らしい行動様式をしていることが多いと考えられがちですが、じっさいは外面は男性らしく取り繕っているMTFも少なくないです。女装をしていくと、性同一性障害の診断がつきやすいというのも、都市伝説です。
カミングアウト(カムアウト)をして、女性として生きていくと決めたら、女性らしいしぐさを身につけましょう。女性らしいしぐさをすることで、自分の中での女性としての自覚も高まりますし、外見のパス度の向上も期待できます。男性はしないようなしぐさを堂々としている自分に気が付いたとき、「私は女なんだ」とうれしかったのを覚えています。
男女の行動様式はどう違うの?
では、男女の行動(ようしき)の違いとは何でしょうか? 歩き方から洋服の着方まで、男女で全く異なった動きをするものもありますが、モノを取る・拾う、手渡すなど男女の動きにさほど差がない動作もあります。しかし、同じ動作をする場合でも、男女で動きの強さや大きさ、丁寧さなどが異なります。女性は男性よりも、動きに力が入っていないことが多いです。
ものを握る場合、男性がギュッと力強く握るところを、女性は必要最低限の力でつかみます。また、動きも男性みたいにダイナミックではなく、小さく円弧を描くような動きが多い気がします。さらに、女性のほうが一般的にものを丁寧にあつかいます。
次のページからは、姿勢や歩き方、腕や手の形など、男女で動作が異なる行動について紹介しますね。