女性になろうかどうかと悩んでいる場合、考えておいた方がいいことがあります。
性同一性障害(性別違和)・MTFの治療は、女性としていきることだけではありません。ジェンダークリニックでは、患者さん一人ひとりの置かれた状況にあわせて、男性のまま生活するのがいいのか、女性として生活していく方がいいのかともに考えていきます。
元男性が女性として生きる困難さ
まず知っておいて欲しいのは、女性ホルモンや手術をしても、限界があるということです。それらの治療をしてどれほど女性として見えるか、通用するかは個人差が大きいのも事実です。完全に女性にしか見えないというレベルに達する人はごく一握りだったりします。もともとの体が華奢で女性的な人や早めに女性ホルモンを始めた人は、かなり女性に近づけます。
ところで、元男性とわかってしまうような外見にしかならなくても、ある程度、女性に見えれば女性として扱ってもらえる場合も結構あります。しかし、中には心無い人がいて、外見を揶揄されたり、差別的扱いを受けたりすることもあるでしょう。
また、社会の制度は生まれながらの男性・女性のためにできているので、日常生活や就労など社会生活のさまざまな場面で、不利益が生じることもあります。仕事を探すのが大変だったり、家族の理解が得られず関係が悪くなったりもします。
女性として生きていける人・やめておいた方がいい人
これらのことを理解した上で、女性として生きていく上でどんなことがあろうとも立ち向かっていける自信のある人、男性として生活することの苦痛の方が、これらの困難より大きい人は、女性として生活してもいいかなと思います。
反対にやめておいた方がいいと思うのは、女性として生きた方が楽・得だからと考える人や、一時的に女性として生きてみたいと思う人です。さっきも書いた通り、女性として生活するには困難がともなうし、後戻りできないからです。軽い気持ちで、女性ホルモンや手術などの身体的性別移行を始めてしまうと、後悔するかもしれません。
女になるのに誰かの許可なんていらない
ただ、女性の服を着たり、メーク(化粧)をしたりするのは自由です。一時的に女性になってみたい人や、自分の中に女性的な部分があってという人は、自分の生活の中に女性の格好をする時間を作ってみてもいいかなと思います。フルタイムで女性として生きるのではなく、パートタイムで女性として生活する人もいます。家族の理解を得て、家では女装をしていたり、週末などに女装愛好家が集まるバーなどに行ったりする人もいます。
また、ニューハーフになるのに医師の許可はいりません。性同一性障害(性別違和)の診断がなくてもホルモン注射を打ってくれる病院も、都市部には結構あります(美容外科など)。また、ホルモン剤を個人輸入して、自己責任で使用しているMTF・ニューハーフも多いです。
まとめ
元男性が女性として生活するには困難が伴います。覚悟ができない人は、女性として生活することはやめておいた方がいいです。どんな困難があっても、自分でいろいろ調べたり、周りの人の協力を得て、一つ一つ乗り越えていける人は、女性として生活しても大丈夫かなと思います。