先日、保険証に通称名を使用できるとの厚生労働省の見解を紹介しました。
しかし、この見解は国民健康保険の場合で、民間企業などの健康保険にはあてはまらないとのこと。
加入する健康保険組合(保険者)を通じて、ニュースを読んだ別の当事者が同省に問い合わせたところ、認められないとの回答があったそうです。
同省は毎日新聞の取材に「国民健康保険は市町村の住民基本台帳に基づき保険証を発行している。住民基本台帳に登録した外国人は保険証で通称を使ってもいいという通達を2011年に出し、GIDに準用した。社会保険は基本台帳に基づかず、通称表記ができるとの判断に至っていない」と説明。「今後、可能とするかどうか検討したい」とする。
毎日新聞サイトより
どうやら今回の対応は、GIDのために特別にしくみ(法・制度・基準)を整えたのではなく、もともと外国人向けであった通称を使用できる例外を準用しただけのようです。
やっぱり、小手先の対応ですよね。
性同一性障害(GID)当事者は、こうした社会制度にある障壁(バリア)だけでなく、自分の身体に対する強い嫌悪・拒絶感にも苦しんでいます。当事者でない方はなかなか理解するのが難しいと思いますが、私の場合「まるで自分が間違って生まれてきてしまった」という思いを抱えていた時期もありました。他人にからかわれたり拒絶されたりするだけではなく、なかなか自分自身(身体と心)を好きになれない。こんなにつらい病気ってありますか?
それでも生きるのです。あなたが死んだら悲しむ人がいるから。また、自分にしかできないことは絶対あります。
二重苦、三重苦をかかえるGID当事者の苦痛を少しでもやわらげるために、当事者に配慮した社会制度を整えていってほしいです。人々の思想が変わるのには時間がかかりますから、まずは制度から変えたほうがいいと思います。
そのうえで、前回の記事でもお話ししましたが、健康保険証の氏名や性別の表記だけを変えれば、それこそ戸籍とのずれが生じて、さまざまな不都合が起こります。表記だけを工夫するのではなく、氏名の変更の手続きを簡単にしたり、性別変更の要件を緩和するなど、もっと根本的な対応をしてほしいものです。
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