健康保険証に通称名を使うことを、ある国民健康保険組合が許可したニュースを読みました。小さな動きですが、性同一性障害・性別違和の当事者が生きやすい社会へまた一歩近づきました。

 

 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)と診断され、戸籍上は男性だが女性として生活している京都市の50代の会社経営者について、京都府酒販国民健康保険組合が、保険証に通称の女性名を記載することを認めていたことが6日、分かった。支援団体によると、公的な身分証明書にもなる保険証で通称使用が認められるのは極めて珍しい。経営者は「私たちがストレスなく社会生活を営むうえで大きな前進」と話している。

性同一性障害:保険証、「通称名」容認(毎日新聞) より

 

健康保険証への通称名の記載は、はじめてのことだそうです。

これまでは、保険者(健康保険証を発行する組織・健康保険組合)の判断で、性別を保険証の裏面に書くなどの対応ができるだけでした。

しかし、MTF当事者の働きかけによって、その方の加入している健康保険組合が厚生労働省に確認。同省が、「性同一性障害をもつ人々に配慮できる方法」を検討した結果、通称名の使用ができるという見解に至ったとのことです。

今回の厚労省の見解が出たことで、保険証の性別表記を工夫したり、氏名として通称名を表記したりといった、性同一性障害の当事者への配慮が保険者の判断でできるようになりました。

※実際にどういう対応をするかは、保険者にゆだねられています。

 

私は、すでに女性名に改名していますが、男性名だったときは、本人かどうか確認されることがよくありました。名前だけでも女性名にすると、本人かどうか尋ねられることはなくなりました。このようなことから、保険証に女性名が使えれば、MtFは生活しやすくなると思います。

とはいっても、このニュースにでてくる50代の会社経営者さんのように、さまざまな理由から改名できない人もいますよね。保険証に通称名を使ってもいいという厚生労働省の見解がでて、本当によかったです。

病院の受付:健康保険証を使う場面は意外と多いです=素材集から

ところで、私は今でも戸籍上は男性のままなので、性別の書いてある保険証の券面が他人に見られないか、ハラハラしています。この前も、新しい歯医者さんを受診したとき、受付の方が「女性の患者さん(私)なんですけど、保険証が男性になっています。どうしましょうか?」て話し合っているのを聞きました。そのあと、私は性別を確認され、嫌な思いをしました。

 

本当は、性別の表記について健康保険組合に対応をお願いしたいのですが、私は学生で、親の健康保険に入っています。親の会社での立場を考えると、対応してほしいとはなかなか言えません。名前が変わったときも、いろいろ大変だったと父親から聞きました。性別を変えて生きているだけで、親を悲しませてしまっているのに、あまり迷惑をかけたくないという思いもあります。(立場とか、男の世界もいろいろ大変なのね)

また、言ったとしても、対応してくれるかどうかわかりません。LGBTに配慮のある企業や、ダイバーシティを意識している企業の健康保険組合なら対応してくれるのかも。でも、私の入っている健康保険組合は、地方に本拠地を構えていますし、企業の風土もどちらかと言えば保守的で、対応してくれなそうな気がします。

 

ブログを読んでくださっているあなたも、健康保険証の表記で悩んでいませんか? 今回の、厚生労働省の決定は、私たちMTFにとって、いいニュースですよね。もし、あなたが配慮のある健康保険や、国民健康保険に入っているなら、ぜひ対応をお願いしてみてください。

ただ、私のように様々な理由で、健康保険組合に申し出ることができなかったり、申し出ても許可してもらえなかったりといったケースは少なくないと思います。

なので、保険証の表記など小手先のことだけではなく、性別適合手術を受けることなく戸籍上の性別変更をできるようにしたり、健康保険を使って性別適合手術を受けられるようにしたりと、もっと根本的なことも実現してほしいですよね!

性同一性障害(性別違和)の治療は、第一段階の精神科での治療以外では健康保険が使えなかったり、専門医が不足していたりして、まだまだ環境が整っているとはいえません。

例えば、性同一性障害の当事者が希望する性として社会へ適応することに役立つ、ホルモン治療にも保険が適応されません。さらに、ホルモン療法をしてくれる病院も少なく、しかたなく個人輸入に頼らざるをえない人も多いです。

また、性別適合手術も性別変更に必要にもかかわらず、健康保険が適応されないという矛盾を抱えています。

性同一性障害(性別違和)当事者の社会への適応や、精神的健康のために、戸籍上の性別変更は有用です。それなのに、そのために必要な性別適合手術に健康保険が使えず、「お金がある人だけが満足な医療を受けられる」状況になってしまっています。これは、すべての国民が公平に医療を受けられるようにという、健康保険制度の根本精神に反していると思います。

 

 

今回、一人の勇気あるMTFさんが、健康保険組合に働きかけたことで、今回の厚生労働省の見解につながりました。不理解や差別にあえぐだけではなく、自分たちの権利を守るために活動することは、大切なことですよね。

私たちMTFのつらさや、社会生活で困っていることは、当事者以外の人にはわからないと思います。わからないことで、誤解されたり、悪気はなくても私たちが困るような対応をしてしまっていることもあるでしょう。

性同一性障害(性別違和)は、なりたくてなるのではありません。また、性同一性障害の当事者は悪いことをしているわけでもありません。私も、周囲と摩擦を起こさないように気を付けながら、胸を張って、「正しいことは正しい」「間違っていることは、間違っている」と、声をあげていけたらな、と思いました。

勇気あるMTFさんに、拍手!!

 

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

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さくら

 

 

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